三元豚とは3品種を掛け合わせた豚のことで、それぞれの品種の良い部分を伸ばしてより良い豚を作ることができます。松阪豚は、LWDと言われる一般的な三元豚の掛け合わせなのですが、こだわっているのはそれぞれの「血統」。L・W・Dの3品種を何代も育て上げ、厳選した最高品質の豚を親豚として使用しています。実はこの「血統」がとても大事で、豚の味の6〜7割を決定づけると言われています。松阪豚が一般的なL・W・Dの掛け合わせを行っているのも血統を重視したためで、より多くの選択肢から優秀な個体を探し出すためなのです。
松阪豚は、「豚のいちばん美味しい時期」にこだわりました。通常は飼育160〜170日、約115kgくらいで出荷のところ、210〜230日、約140kgと約2ヶ月間長く、大きく育てています。実は、豚にとってこの時期が人間のちょうど20歳くらいにあたり、いちばん脂の乗った美味しい時期なのです。そして、後半の飼育140日以降は、脂質を落とした飼料に変更し、熟成期間を設けます。この熟成期間を設けることで、皮下脂肪が肉に浸み込み、キメ細かいサシ(霜降り)の入った、締まった肉になるのです。
良い豚を育てるためには、恵まれた自然環境と飼育環境でストレスなく飼育することが重要です。一見肉には関係ないようですが、実はストレスがかかると肉に血が入り、肉質が悪化してしまうのです。豚は本来きれい好き。豚舎を常に清潔な状態に保つことが重要です。常に清潔に暮らしている豚は、性格もみな穏やかになり、免疫力の高い健康な豚に育ちます。また、三重県は自然環境にも恵まれており、約65%が森林に覆われています。その森林の葉は腐葉土となって大地に浸み込み、地下水となります。松阪豚はそのミネラルをたっぷり含んだ地下水ですくすくと育っているのです。